人生はハードコア、デスメタル

ハードコアパンク、デスメタル等のエクストリーム・ミュージックについて語るブログ

INVICTUS 『THE CATACOMBS OF FEAR』レビュー 長野の誇り!デスメタラーなら問答無用で聴くべき!

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2015年に長野県で結成されたデスメタルバンドの2020年リリースの1stアルバム。ミッ
クス・マスタリングに死んだ細胞の塊、BUTCHER ABCなども使用したStudio Chaosk。ロゴデザインはEMPERORなども手がけ日本でも個展を開催したメタルロゴの巨匠、Lord of the LogosことChristophe Szpajdel。アートワークはスペインのDan Seagraveと言われCOFFINS、VARATHRONなど数々のデスメタルバンドのジャケットを手がけるJuanjo Castellano Rosado。MALVOLENT CREATION、DEMOLITION HAMMER、SPAWN OF POSSESIONなどから影響を受けたとされるが、MALVOLENT CREATION位しか私は正直、聴いたことが無い。90年代のオールドスクールデスメタルを現代に継承する日本では数少ない”New Wave of Old School Death Metal”バンドというわけで、その音楽性を一言で言うならば、オールドスクールデスラッシュ。スラッシュの洗礼を受けた切り刻まれるリフワークに、唸りを上げるギターソロ、ブラストだけに頼らない渋い小技も光る圧倒的なドラミングが印象的で、メンバーの演奏力、表現力は世界レベル。地方の井の中の蛙とは言わせない。モダンな楽曲は作らないのかな?と思わせておいて、Nileのような展開も魅せる「Lord Of The Pit」は凄まじく格好いいし、一般的なメロデスへのアプローチが弱い(ここがポイント。あくまでもオールドスクール)メロディの構築美も凄い。どの曲も4分を超えないコンパクトさで、緩急は付けるものの、ほとんどテンポダウンしない潔さはハードコアパンクスにもオススメできるし、デスボイスに抵抗が無ければスラッシュメタラーにすら有効な楽曲構成だ。正直、この手の音楽性というか、彼らのやっていることはやり尽くされているはずなので、この現代社会において何故か新しさすら感じさせるのは素晴らしいと思う。それはひとえにメンバーの演奏力の高さ、楽曲の良さが上手く表現されているからだろう。長野という辺境で、このようなサウンドスタイルが生まれた奇跡。それを目撃しないのは損だ。作品に収録されている楽曲はバンドの修行の如く、凄まじいライブ経験から生まれたものと推察できる程、良曲揃い。1stにしてバンドの集大成である。アルバムの構成にも気を使っており、インスト「Netherworld」からラストトラックにして、アルバムの表題曲「The Catacombs Of Fear」に繋がっていく心意気にも痺れる。終わり良ければ全て良しってね。このラストトラックがこれまたファッキンクールな出来なんですわ。そして、パッと終わる。本当に潔い。長野県民はこのバンドを誇りに思うべきであり、地元のヒーローになり得る存在。例えデスメタルがイロモノだと言われても私はそう信じたい(メタル自体がイロモノという事実が喉元に突き付けられるが)。旧時代のデスメタルをプレイする新時代のデスメタルヒーロー、ここに爆誕オールドスクール、ニュースクールなんてくくりはどうでもいい。このかっこよさの前には戯言に過ぎぬ。この音楽を信じず、何を信じるんだ?そう思わせる説得力を感じさせるファッキングレイトな作品である。全デスメタラー必聴のアルバムだ。