人生はハードコア、デスメタル

ハードコアパンク、デスメタル等のエクストリーム・ミュージックについて語るブログ

DIE YOU BASTARD! 「全身全霊」個人的評価 感想 レビュー

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天才凄腕漢気ドラマー、
IRON FIST タツシマ氏在籍の、
JAPANESE GRIND HARDCOREバンドの、
1stアルバム。
とにかくイカれたスピードの、
向こう側を見せてくれよ!
という狂ったスピード狂を自称している
私が、本作のレビューというか、
感想を書かないのは、
ありえないだろうと思ったので、
こうやって記事に起こしている。
「速きゃいいんだよクソッタレ」
という名言で有名だし、
ドラムをやっている人や、
グラインドコア/ハードコア界隈で、
IRON FIST タツシマ氏の名前を
知らない人は、
いないのではないかと勝手に思っている。
まずはそのIRON FIST タツシマ氏の、
ドラミングについて触れねばなるまい。
ちなみに私は、ドラムの演奏については、
よくわからない、ほぼ素人だ。
昔、DAW(作曲ソフト)とかで、
ドラムの打ち込みをちょっと、
やったことがある程度である。
しかし、そんな素人でも本作で聴ける、
ドラミングが、
ヤバすぎるというのは痛いほどわかる。
まず、細かいテクニック以前に、
これは人間が叩いてるのか?
と感じてしまうほど、
単純に手数が多すぎる。
ここまで叩けるようになるまでに
相当の修練を積んだはず。
雑誌か何か忘れたが
(確か、今は亡き、雑誌、DOLLだったと思うが)、
「演奏力は、海外のバンドに負けてねーよ」
と、本人が語っていたのだが、
その鉄壁の自信は、
こけおどしではなく、
修練によって積み上げた、
本物だということがよくわかる。
これも確かDOLLでの話だったと思うが、
バンド・メンバー募集の要件に、
演奏力最重視と書いていたのも、
大いに納得できる。
とにかく、IRON FIST タツシマ氏、
いや、DIE YOU BASTARD!は、
めちゃくちゃストイックな存在なのである。
ところで、
IRON FISTと名乗っているのは、
Motorheadが大好きだからだと思うが、
確か彼はライブ中に、
Motorheadを聴かない奴は、
黒いTシャツを着てはいけない」
みたいなエクストリームなことを、
言っていたはずである。
この逸話を聞いて、
シビレナイ奴なんていないのでは?
ドラムも凄いが、他の演奏陣も凄い。
デスメタリックなアプローチが強い、
テクニカルなギターは、
終始暴れっぱなしで、
その演奏力を芸術性などというものに、
ほとんど、向けていないのが、
本当に素晴らしい。
楽器の演奏が上手いアーティストは、
演奏が上手いことは良いことなのだが、
ほとんどの人が攻撃性に、
注力していない印象がある。
しかし、このバンドの演奏陣はとにかく、
その鍛え上げた演奏力を攻撃性や暴力性に、
全部乗せしているのだからたまらない。
アルバムの箸休めになる、
インスト・ナンバーですら、
超絶技巧によって、
殺気に満ち溢れているのがすごい。
一方、ボーカルはグロウルではなく、
ジャパコアによくあるタイプの、
荒くれ極道系ボーカル。
そのボーカル・スタイルは、
バックの演奏がブルータルに、
近いものなのに、
地味という印象を受ける人も、
いるかもしれない。
しかし、日本語ハードコアに飢えている、
私にとっては大好物なのである。
前述した通り、
デスメタリックな印象は強いし、
エクストリーム・メタルの名盤としても、
紹介されている作品ではあるが
(メタラーも是非、聴いてね!)、
根本的にはジャパコアだと、
思ってもらいたい。
ヒロイックでクサみのあるギターワークや、
わかりやすい男臭いコーラス、
名曲「DIE YOU BASTARD!〜
くだらねェにも程がある!」で、
嫌というほどわかる、
キャッチーな歌メロを作ってしまうセンスは、
完全にジャパコアなのである。
もし、本作の音楽性が完全なデスメタル
もしくは、デスグラインドとかだったら、
恐らく、私は、
本作をそんなに
愛でていなかったと思う。
そう、やはり、
根っこはジャパコアそのものだから、
最高なのである。
ジャパコア最高!
ジャパコアは世界に、
誇れる日本の文化だ!
と、常日頃に言っている、
私にとっては、
ジャパコアこそ、
絶対正義であり、信じる道なのである。
将来的に野垂れ死んでも、
この考え方だけは曲げないと思う。
悲壮感と勇壮さを持って、
カミカゼアタックする、
ラストトラック「何処まで行けば!」
まで聴き終えれば、
きっと貴方はイカレタスピード狂に、
生まれ変わっているだろう。
狭量なのは承知で言うが、
本作が嫌いな人が、
激しい音楽が好きだなんて、
出来れば名乗ってほしくない。
それほどのインパクトを持った名盤である。
ちなみに、
IRON FIST タツシマ氏は、
FIREBIRDGASSの「living today」という、
作品にも参加していて、
その卓越したドラム・テクニックで、
めちゃくちゃ目立っているので、
そちらも是非、
聴いてみてほしいところである。
まあ、結構、色々なバンドやプロジェクトに
参加しているようなので、
これだけではないのだが。
問題は、本作も「living today」も、
入手困難ということである。
ああ、bandcampに音源、
リリースしてくれないかなー。
探したけど、本作は無いみたいである。
多くの人に手軽に、
ゲットしてもらいたい作品って、
こういう作品のことを言うのだと思うから、
何とか流通の方を・・・・。
とりあえず、速くて、熱くて、
激しい音楽が好きなら是非、
探し出して、ゲットして頂きたい。
恐らく、本作に出会ってなかったら、
私の人格すら違っていたはずである。

SWARRRM 『こわれはじめる - Beginning to break』レビュー もはやグラインドで括れない問題作&意欲作

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神戸のカオティックグラインドバンドによる、前作『FLOWER』(2014年)より4年ぶりにリリースされた作品。果たして、この作品をグラインドコア・アルバムと呼んでいいのだろうか。爆裂するファスト・パートこそグラインドコアの本懐であると信じる私のようなスピード狂にとっては、その部分に関しては物足りない。本作に収録されている楽曲の魅せ場は、エクストリーム・ミュージック界隈では否定されがちな、いわゆる「歌」の部分。正直、ダミ声でエモーショナルにメロディを歌い上げるパートも最初は違和感を感じたりもした。ほとんどの人は、真実の愛などもっていないし、夢を見たところで、くだらない大人に馬鹿にされてしまう今の世の中で、純粋に愛や夢について歌う彼らの姿を冷めた目で見ている自分もいた。元々、グラインドコアでくくってしまうのは無理のある音楽性とセンスを持っていたバンドであることは承知していたし、何より創作において、方向性や可能性を狭めるという考え方こそが、最大の悪であるということを踏まえれば、このサウンドが彼らなりの進化なのだろう。何度も言うが、ファースト・インパクトは確かに弱かった。それでも聴きこんだその先に何かが見えると信じて、アルバムを聴きこんだ。そうすると生々しい彼らの音楽が心に突き刺さった。泣きまくる尖ったメロディ、ジャパコア・テイストなダミ声ボーカル、時折絡むスクリーム、夢をみてもいいじゃないかと繊細に綴るポエム・・・そのどれもが愛おしく感じる。グラインドコア並び、エクストリーム・ミュージックとして、この作品を聴こうと思ってはいけない。音楽に優劣なんてないとよく言われるが、それでも音楽として高いレベルに位置する作品であることは断言しておきたい。これが芸術ってやつなのだろう。その崇高とも言える部分が鼻につくこともあるので、この作品を理解できないという人がいるのもすごく理解出来る。私もこの作品に色濃いポストロック/ポスト・ハードコア要素はそれほど好きではないからだ。とりあえず今はネットが普及し、簡単に視聴が出来るので、一度視聴してみてほしい。まさかこんな便利な言葉で、文章を締められる時代が来るとは思わなかった。今月発売される新譜の曲を視聴したところ、前作の延長線上でありつつも、よりエモーショナルな部分を強めている印象がある。そちらを聴くのも今から楽しみである。

https://swarrrm.bandcamp.com/album/beginning-to-break-2nd-press

BERZERKER LEGION 『OBLITERATE THE WEAK』レビュー 手練による無難な感じのデスメタル

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SANCTIFICATIONのTomas Elofsson(G)、ASPHYX/GODS FORSAKENのAlwin Zuur(G)を中心に、SYN:DROM/WOMBBATH/ASHCLOUD他のJonny Petterson(Vo)、DARK FUNERAL/ex GRAVE/ex THERION/ex EXCRUCIATEのFredrik Isaksson(B)、VADER/BLOODSHOT DAWNのJames Stewart(Ds)によるデス・メタル・バンドの20年発表の1stアルバム。いわゆる手練れというメンツによる王道デスメタルをやっている。意外にもメロディが豊かで、メロデスと紹介されてもおかしくない楽曲構成。ヴァイキング・メタルのような野蛮さも持ち合わせており、Amon Amarthといったバンドにも通ずるものがある。演奏も安定していて、サウンドプロダクションもクリア。ボーカルのグロウルも聴きやすく、デスメタル初心者でも入りやすいのではないだろうか。楽曲はヘヴィさを重視しているという訳でもないが、ミドル・テンポでズシズシ進む感じで、安定感はある。展開もデスメタラーの耳馴染みの良い感じで、非常に安心して聴ける。オールドスクールデス・メタルというよりはモダン・デス・メタルといった感じか。腐臭漂うようなアンダーグラウンドデスメタルを聴いている玄人にはヌルいと思うし、楽曲に目新しさはゼロ。ちょっと良いかな?と思うようなメロディはあるものの、突き抜けたパンチ力は感じられず、これといったキラーチューンは無いので、あくまでも普通のちょっとメロディアスなデスメタルといった印象しか見受けられない。バリバリに突進するようなテンションの高い曲が無いのもスピード狂の自分にとっては不満というか、物足りない。そんな戯言を払拭する素晴らしいメロディやリフがあれば別だが、そういう訳でもないし・・・まあ、バッサリ言ってしまえば中途半端なテンションで、演奏は上手くても、エクストリーム・メタルとしてはB級だろう。ベテラン勢にありがちなクオリティというやつは安定しているが、楽曲の質は最高とは言い難いというレベルに落ち着いてしまっているのは残念。あまりシーンに刺激を与えるような作品では無さそうだし、短命に終わりそうなバンドだが、果たしてどうか。次回作で大幅に化けるといった進化に期待したいところ。前述したようにデスメタル初心者には入りやすいと思うので、ちょっとデスメタルをかじってみたいんだけど?って人にはオススメかもしれない。まあ、それなら他にデスメタルの名盤はいくらでもあるので、そちらを聴くことをオススメするが・・・何だか不満ばかりを書き連ねているような気がするが、不思議と憎めないバンドではある。やはり、王道というやつは憎めないものか。

INVICTUS 『THE CATACOMBS OF FEAR』レビュー 長野の誇り!デスメタラーなら問答無用で聴くべき!

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2015年に長野県で結成されたデスメタルバンドの2020年リリースの1stアルバム。ミッ
クス・マスタリングに死んだ細胞の塊、BUTCHER ABCなども使用したStudio Chaosk。ロゴデザインはEMPERORなども手がけ日本でも個展を開催したメタルロゴの巨匠、Lord of the LogosことChristophe Szpajdel。アートワークはスペインのDan Seagraveと言われCOFFINS、VARATHRONなど数々のデスメタルバンドのジャケットを手がけるJuanjo Castellano Rosado。MALVOLENT CREATION、DEMOLITION HAMMER、SPAWN OF POSSESIONなどから影響を受けたとされるが、MALVOLENT CREATION位しか私は正直、聴いたことが無い。90年代のオールドスクールデスメタルを現代に継承する日本では数少ない”New Wave of Old School Death Metal”バンドというわけで、その音楽性を一言で言うならば、オールドスクールデスラッシュ。スラッシュの洗礼を受けた切り刻まれるリフワークに、唸りを上げるギターソロ、ブラストだけに頼らない渋い小技も光る圧倒的なドラミングが印象的で、メンバーの演奏力、表現力は世界レベル。地方の井の中の蛙とは言わせない。モダンな楽曲は作らないのかな?と思わせておいて、Nileのような展開も魅せる「Lord Of The Pit」は凄まじく格好いいし、一般的なメロデスへのアプローチが弱い(ここがポイント。あくまでもオールドスクール)メロディの構築美も凄い。どの曲も4分を超えないコンパクトさで、緩急は付けるものの、ほとんどテンポダウンしない潔さはハードコアパンクスにもオススメできるし、デスボイスに抵抗が無ければスラッシュメタラーにすら有効な楽曲構成だ。正直、この手の音楽性というか、彼らのやっていることはやり尽くされているはずなので、この現代社会において何故か新しさすら感じさせるのは素晴らしいと思う。それはひとえにメンバーの演奏力の高さ、楽曲の良さが上手く表現されているからだろう。長野という辺境で、このようなサウンドスタイルが生まれた奇跡。それを目撃しないのは損だ。作品に収録されている楽曲はバンドの修行の如く、凄まじいライブ経験から生まれたものと推察できる程、良曲揃い。1stにしてバンドの集大成である。アルバムの構成にも気を使っており、インスト「Netherworld」からラストトラックにして、アルバムの表題曲「The Catacombs Of Fear」に繋がっていく心意気にも痺れる。終わり良ければ全て良しってね。このラストトラックがこれまたファッキンクールな出来なんですわ。そして、パッと終わる。本当に潔い。長野県民はこのバンドを誇りに思うべきであり、地元のヒーローになり得る存在。例えデスメタルがイロモノだと言われても私はそう信じたい(メタル自体がイロモノという事実が喉元に突き付けられるが)。旧時代のデスメタルをプレイする新時代のデスメタルヒーロー、ここに爆誕オールドスクール、ニュースクールなんてくくりはどうでもいい。このかっこよさの前には戯言に過ぎぬ。この音楽を信じず、何を信じるんだ?そう思わせる説得力を感じさせるファッキングレイトな作品である。全デスメタラー必聴のアルバムだ。